第3章 使用人
夕凪がセーラー服とか笑うよな。夕凪は男みたいな女だ。基本笑わねーし、甲高い声もださねーし、胸もねーし。こんな女はどの男の眼中にも入ってないだろう。
最近俺の周りは騒がしい。
「きゃー、わー」と言った黄色い声が飛んでたり、誕生日でもないのに綺麗に包装された物を渡されたり、近付いて来たかと思ったら顔赤くして逃げ出したり、顔も名前も知らねーやつに好きって告白されたり。
ま、ナイスガイの五条悟くんなんで仕方ないんですけど。顔がいいのは前から知ってるし、最近、成長期が俺を休ませてくれなくてどんどんデカくなってる。
夕凪の栗帽子みたいな頭を上からいい子いい子ー、って撫でるのは爽快だ。恵まれた体格には感謝しねーとな。
告白してくる女の中で、可愛かったり、スタイルが好みだったりしたら、俺もちょっとは相手した。でも女ってのは電話だのメールだの寄越せってうるせーし、どこ行ってたの? とかあの子と話さないでとか、干渉してくるし我慢出来なくて結局、面倒臭いってなる。
すぐ触ろうとしてくる女もいて、無下限使いたくなるけど、当主に非術師の前では術式を使うなって言われてる。はぁー、弱いやつに気ぃ使うのはほんと疲れるわ。
まぁ、俺は別にもうすぐ卒業だし、適当に過ごそうと思ってたけど、女の嫉妬っていうのはマジ怖ぇー。実際呪いの中でもタチが悪い。俺の周りにいた女は関係ねー夕凪にまで嫉妬してきやがった。
「学年一個下のあの子と知り合いなの?」
「よくあの子と話してるよね?」
「なんで仲良いの?」
いちいち答えるのもめんどーで「別に誰でもいいだろ、関係ねーじゃん」ってかわすと女達の目がドス黒いものに変わる。対象が俺じゃなく夕凪に向いたのがわかった。