第3章 使用人
卒業したら、悟くんはこのお屋敷を出る。
今まで悟くんの側で口を酸っぱくして道徳的指導をしていた仕えの人や、比較的まともだと自負するあたしから離れて、いったい誰が彼の面倒を見るんだろ?
あんな無茶苦茶な性格で、呪術師が務まるのか? 迷惑かけまくるんじゃないのか? 誰でもかれでも怒り狂って、全員殺してやろうか、なんて言い出さないか心配だよ。
悟くんは五条家の次期当主だし、高専に行ってちやほや甘やかされて、ただのクズになったらどうしよう……。
どうか、いいお友達や先輩、先生に恵まれますように。悟くんのことちゃんと叱ってくれる、間違ってるよって言ってくれる素敵な仲間に出会えますように。
あわよくば、一発くらい殴られてこい!
喧嘩した後、何も話さないまま悟くんは五条家を出て、高専の寮に入ってしまったけど、こんな風にあたしは心の中でいつも、いつも悟くんの事を考えていたんだ。
◇