第12章 ★ハワイ旅行
「……お揃いにしたの? いつのまに!」
「オマエがぼーっとしてる間に」
「ぼーっとしてる時なんかありません」
「ヤッてる時はずーっと放心してたけどな」
またそういうこと言う。無視無視。誰のせいで放心になると思ってんの
「でも、どうして? 嬉しいけど、これは悟くんへの誕プレだからあたしは別によかったのに」
「ペアで付けときゃ、少しは嫉妬減るだろ? ハワイで恋人同士にも見えんだろ」
バングルを外して裏を見ると
Satoru to (夢主名のイニシャル)
(夢主名のスペル) to S
って文字がそれぞれに刻まれてた。互いにプレゼントし合ったっていう刻印。
世界にひとつだけのペアバングル。店でオーナーと喋ってたのは、こっそり同じバングルを注文してたから? ――なんだかんだ優しい人だ。
「悟くん好き、ありがと」
ハワイに来て初めてあたしから悟くんにキスした。
カシャ
[Photo No.5]
ジャグジーでハイビスカスの赤、ピンク、白、黄色の花びらが浮く中で、お揃いのバングルつけて、ふたりの手でハート♡の形作ってる悟&夕凪
悟くんは、ハートの形作るのは照れて嫌がってたけど、無理矢理やってもらった。
「この写真は厳重管理しろよ。誰にも見せんな」
そんな事言ってた悟くんが、10年後に高専の教え子に「若い時の僕と奥さん♡見る?」って、誰にも求められてないのに、自ら写真を見せるはたまた迷惑な五条先生になってるなんて、5才から一緒にいたあたしも、さすがに想像つかなかったな。
◇