第12章 ★ハワイ旅行
「悟くん、もう行こ」
「フィアンセが呼んでるから遊んでやれねーわ。じゃね」
悟くんが、足を離すと男は瞬時に体を起こして後ろから悟くんに蹴りかかった。あたしに矛先が向かないように悟くんはあたしの腰を引き寄せて無下限を張る。男の蹴りは全然当たらない。
こんな高級ホテルで出すような声じゃない、まさに獣の雄叫びみたいな声出して、男が悟くんに何度も蹴りかかってる。
悟くんは無下限張ったまま全く相手にしてない。高級ホテルで周りに宿泊客もいてドンチャカやるのは迷惑かかるってちゃんとわかってる。あたしにハイって買ったドリンク渡して、余裕だ。
だけど、その男はプールの入り口までしつこく追ってきた。
「逃ゲルナ」
「まだ何か用? あ、これ? メッキのブレスレットな。返す返す。ナンパにいるもんな」
悟くんは人差し指にそれをひっかけてぐるぐる回す。
「ふざけやがって。テメェー、勝負シロ、ヨワムシジャパニーズ」
――ん? なんだと! 悟くんに何言った? あたしがムカついた。
「悟くんブレスレットちょうだい」
受け取って、それを男に投げつける。なんだかんだブレスレットは欲しかったようで、男はそれをキャッチした。
「アッツ! ho! hot! アチーー」
触った瞬間、慌ててプールに手を冷やしに行ったようだった。術式を使って、空気の熱の温度をあげてメッキに熱伝導させといた。
空気には常に熱がある。いつも太陽の日差しが強いこの島は特に。ブレスレットは100度くらいになってたかもしれない。