第12章 ★ハワイ旅行
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灼熱の太陽! 絵の具で描いたような真っ青な空に綿菓子のような白い雲。降り注がれるサンサンとした日差しが眩しい。
来ました。ホノルル! ハワイ。太平洋に浮かぶ南の島。
サングラスとハットと日焼け止めは必須アイテムだ。悟くんは元から目を保護してるけど、あたしもティアドロップのグラサンをオン! メイクした上にさらに日焼け止めを塗って、麦わらを被って完全UVケアした。
五条の奥様はハワイがお好きで、悟くんは小さい頃から何度もこの島を訪れてるけど、あたしは初めて。
ひとつ断りを入れておくけど、ハワイに来たのは、悟くんが強引に誘ってきたからで――誕生日祝ってくれねーの? とか詰め寄ってきたからで、決して乗り気でこの地に降りたわけじゃあない。婚約者が決まってる悟くんと2人っきりでハワイ旅行なんて問題大アリなのだ。
飛行機がファーストクラスだったからって、はしゃいでなんかない。サングラスを3つも買ったのは、決して張り切ってるからじゃない。
けど……どこからともなく流れてくるハワイアンフラダンスのウクレレの音色に気分が上がる。アロハって言われたらアロハって返しちゃう。潮風があたしを誘う。サザーっていう波音が遠くから聞こえてくる。
「ねーねー、ビーチ行くの? 泳ぐの? それとも買い物? 観光?」
「ノリノリだな。『海外なんて婚約者いるのにまずいよ、悟くんがわがまま言うから来たんだからね』って言ってた割には盛り上がってんじゃん」
「別に……。至って冷静です」
「ワクワクしてるって顔に書いてあっから」
そんなにあたし顔に出てる? 思わず頬をゴシゴシ撫でてみる。
「夕凪はハワイぜってー好きだって思ったわ。着いたらテンション爆上げだろーなって」
完全に読まれてるのが悔しい。