第11章 急展開
6月。
妊娠6ヶ月。体重増えてきた! やばい! と思ったけどこれで正常みたい。すくすく育ってますって。男の子かな? 女の子かな? 性別が、もうわかるとかでドキドキする。
病院に勧められて、町でやってる沐浴教室っていうのに参加してみる。キューピーちゃんを赤ちゃんに見立ててお風呂に入れる練習だ。
5組の参加者がいた。あたしだけは組じゃなくひとりなんだけどね。みんな旦那さんと来てる。赤ちゃんをお風呂に入れるのはパパでも出来る育児って雑誌にも書いてあった。
係の人や参加者のご夫婦がちらちらあたしの方を見る。どう見ても最年少だし、シングルだし、訳ありに見られるんだろうな。それも仕方のないこと。係の人がお手本だと言って、1組のご夫婦に注目させる。
「パパさんの手が大きくて、首をしっかり支えていて、赤ちゃん気持ちよさそうですね。パパさんはなかなかのイケメンで、かつイクメンさんですねぇ」
旦那さんは、そんな事ないですよって笑ってて、奥さんは、旦那さんを褒められて嬉しそうだ。
こんな時に悲しくなってどうする。手がそんなに大きくないあたしは、お人形でも支えるのがなかなか支えるのが難しい。係の人に手伝ってもらいながら、チャプチャプお湯をかけたり頭を洗ってみたりした。
「慣れるまでは手伝ってもらいながらやるといいですよ」って言われたけどそんな人いない。
だけど……
悟くんは、ここにいるどんなパパさんとも比べもんにならないくらいイケメンで、手だって大きくて、赤ちゃん2人くらい同時に洗えるもん。悟くんがここにいたら、きっと1番のイクメンだって褒められる。こんなの余裕だから僕に任せとけっていう。
「だから、悲しまなくていいから。あたしが、ちゃんと沐浴してあげるからね」
赤ちゃんに声をかけた。