第11章 急展開
未成年のハードルがなかなかに高い。住むお部屋が見つからないだけじゃなく、携帯の番号も親の同意なしでは変更出来なかった。
これしきのことでめげちゃいけないと思うけど、うまくいかないと悲しくなって好きな人の名前を呼んでしまう。
――悟くんは今、婚約の儀に向かって進もうとしているんだから名前なんか呼んじゃ駄目。もう一度気を奮い立たせる。
頭から五条を切り離そうと、気分転換に外に出てみることにした。ぶらぶらと京都の街並みを歩く。
だけど、これはなんの因縁?
道路に沿って見えた電車の駅名が清水五条駅だった。
五条……だから、なんで現れるの?
人がたくさん流れていく方向に身を委ねて歩いていくと橋がかかってる。橋名は……
五条大橋。だから、なんで?
見ない見ない!!大橋だけ見ろ、あたし!
橋は渡らないことにする。逆方向に進むけどその通りの名前は……
五条通。
もうええわ!
関西人っぽくなってきた。進んでいくと坂があって、人の流れはそこに向かう。坂の名前は……もうわかってる、きっとそうでしょ? そうなんでしょ?
五条坂。
当たったー!
ってちゃうちゃう。もういい加減にして!!
はぁー。五条の文字から離れられない運命なの? 京都に五条っていう地名があるみたい。ここまでくると五条池も五条川もあるんでしょ! 来るなら来い!
と思ったけどこの近くにそれはなかった。
ないんかーい。
こんなノリでいいのかな、悟くん?
ひとりツッコミも寂しくて、結局、彼の名前を呼んだ。五条坂を登っていくと、なんと、清水寺にたどり着いた。世界遺産だ。どおりで人の流れがあるはず。