第10章 別れ
あんなの長老に見せられない。悟くんとあたしが水着姿で写ってるってだけでも長老からしたら刺激が強そうなのに、イチャイチャくっついてる写真を見たら……ダメ! 絶対に駄目!
交際がバレるとかそういうことじゃなく、身体的な発作を起こしかねない。泡吹いて倒れ込んじゃうよ。そのままお亡くなりになんてことになったらどうすんの。死因は何? あたしたちの写真による血圧の急上昇!? 鼻血じゃなく脳内で出血? 殺人兵器じゃん!
この危機的状況を、悟くんに伝えようとしたけれど、長老が話をしているから話しかけられない。メールで『写真片付けてくるから、長老を引き止めておいて!』って送信する。
悟くんはすぐ携帯開いて、あたしの方を見て頷いたから多分伝わったと思う。急いで悟くんの部屋に向かった。
部屋に入ると、数枚だけかと思っていた写真は結構な数、散らかっている。ほんとに危なかった。リビングスペースのテーブルに置かれたアルバムは広げっぱなしで、後ろから悟くんにギューされてる。ビーチで自撮りしたやつだ。
ヤシの実にLOVEってステッカーをデコってる。なんてこった。自分でやっておきながら超恥ずかしい。すぐアルバムを閉じた。
とりあえず散らばっている写真を集めて小箱に入れる。どこに片付けようかなと迷い、目についたのが扉が頑丈そうなキャビネット。ここに決めた!
開けた瞬間、小箱が飛び出てくることのないように、棚の奥の方に手を伸ばす。すると、巻物のような筒状の何かがあって、そこに小箱がつっかえた。なんだろう、こんなものあったっけ? 気になって取り出してみる。