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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第9章 婚約者は誰?


 遺言が開示された後も変わらない悟くんとの恋人関係。不思議で仕方ないし不安な気持ちも完全には拭えないけど、悟くんの香りを嗅ぐと安心する。

 いろんな情報を頭の中でまとめてみたけど、あたしの妄想は今も加速しっぱなしだ。

 五感で感じ取るのは、悟くんも含めて五条家全体で優しく温かく包んでくれてるような感覚。あたしが遺言に婚約者として書かれているかどうかは別としてそれは間違いないような気がする。

 横に寝返りを打って悟くんを見る。二人きりだし教えてくれないかな?

「ねぇ、悟くん?」
「なに?」
「ひょっとして、ひょっとしてだけど……あたしが婚約者だったりする?」
「……」
「そんなこと聞かれても困るよね。遺言に関しては何も言えないんだもんね」
「もうそろそろわかるよ」

――もうそろそろわかる。

 それがいつなのかはわからないけれど、悟くんはもうすぐ19歳。そう先ではないはずだ。これまで何度か不安になって婚約者の事を尋ねたけれど、いつも同じセリフが返ってくる。

「夕凪はこれまでどおりにしてればいい」

 もしかしたら、これは本当にあるかもしれない。婚約者として悟くんの横に立てる日が来るのかもしれない。童話やディズニーの世界みたいに、なんでもない普通の女の子が王子様に連れられてプリンセスになるみたいに、あたしに祝福すべき未来が用意されているのかもしれない。そんな風に期待してしまう。

 あたしは、自分のポジティブ妄想に胸をときめかせながら、その遺言の内容を知らされる時を待った。






 でも……
 そんな馬鹿な話はあるわけなかった。

 「その時、交際してる人と婚約する」なんて遺言、よく考えたらあるわけない。だってそれって普通のことだ。

 一般人はみんなそうでしょ。その時付き合ってる人と結婚するもんでしょ。何代にも渡って遺言にしたためられるような秘伝的なことは何ひとつない。

 結局はあたしの妄想に過ぎなかった。五条家の遺言書、婚約者の制定。それはあたしが思っていた自由恋愛とはかけ離れた、昔ながらの伝統を重んじるような重圧的な内容だった。


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