第8章 夜空
クソ甘ったるいけど夕凪とこんな会話するのは嫌いではない。コイツと今、こんなに上手くいってるのは傑のおかげなんだろうな。
夕凪と喧嘩したまま高専に来た俺に、即、謝れって電話かけさせて、付き合う以前からちょこちょこ夕凪のこと話してよ――っていうより傑の方から、それとなく「その後、彼女とはどうなんだい?」って聞いてきて、俺が口を滑らせて、みてぇな感じだったけど。
極め付けの誕プレは、傑の助言が的確で、夕凪は大喜びだったしな。さすが女ったらしは違ぇーわ。傑の方が俺よりモテるってのは認めてやるよ。
「一途になれる彼女がいて悟が羨ましいよ」って前に言ってたけど、オマエはそんな彼女いなかったの? 女も捨てて、親も殺して、やっぱり今もまだ馬鹿げた理想を追い求めてんのか?
傑は、俺の親友は――今はもう高専にいない。