第6章 キスの味
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悟くんとあたしは付き合い出した。
彼氏と彼女になった。
一度、気持ちを解放して、好きだって伝えると、あたしのそれはどんどん加速してしまい、悟くんも、普段のあの態度と物言いは変わらないんだけど、2人きりで、そういう雰囲気の時は好きだって言う。
あたし達は何度もキスをした。
それは、時に学校の空き教室だったり、校舎の陰だったり、任務から戻る途中だったり、デートの最中だったり。
回を重ねるごとにそのキスは深くなっていって、彼とのキスはとろけるようで……立っていられないほど気持ちのいいもので……。
あたし達は、ずっと何年も好きだと言わずに、その思いだけでつながってたから、まだ、それが恋だって自覚する前から心のどこかで、ずっと相手の事を想っていたから、こんな風に思いが実った後は、ただただ触れたかったんだと思う。
「嫌なら言えよ」って言われたけど、嫌なわけはなく、悟くんがあたしの唇を吸ったり、舌を絡めてくると、あたしはそれに少しずつ応じるようになっていった。濃密なキスが繰り返される。
そして……
この夏は星漿体の事もあり、慌ただしくてお盆に帰省できなかったあたし達は、久しぶりにふたり揃って冬に五条家に帰省した。
12月7日。その日は、悟くんの17歳の誕生日だった。婚約者の事が記された遺言が悟くんに開示されるまで、ちょうど1年となった日。
この日、あたしは……
悟くんと寝た。