第5章 いざ高専へ
「なに揃いも揃って気持ちわりぃ顔してんの」
「なー五条、あれは溺愛したくなる。想像以上だ。あの子、真っ白じゃん」
「彼女が今から悟の色に染まると思うと気の毒になるがな」
「勝手に言っとけ。今からっていうけどあいつはもう俺に染まってんだよ」
ぼそぼそ2人で耳打ちして話し出した。
「すげえ自信だな」
「あぁ、振られる悟は私もあまり見たくない」
「夏油頼んだ」
「いや、硝子の反転術式で粉々になったハートを治してやってくれ」
「なおらねー。粉々になりすぎて」
聞こえてんだけど……。
なんで俺が夕凪に振られること前提になってんだ。「ま、せいぜい頑張れ」って言って硝子と傑は机から離れた。
夕凪はあいつらに何を話したんだ? 俺と夕凪は確かにきちんと付き合ってるわけじゃない。傑と硝子にあんな風に言われてふと思う。
でも、付き合ってるようなもんだろ、俺の気持ちは通じてるだろうし、あのお盆の夜、夕凪も俺のこと抱きしめたってことは両思いだよな。
夕凪とは長い付き合いだから、今さら好きだの付き合うだのって言うのも関係がこじれそうで、夕凪が一番そういうのを嫌がりそうで、俺はこのまま自然にそうなればいいんじゃねーのって思ってた。