第5章 いざ高専へ
というわけで、今、在学中の奴らはノーマークでいい。後は、新入生か……俺は夕凪が入学した初日に1年の教室を覗きに行った。夕凪には「時間取れたら行くかもしんねー」ってメールで伝えてある。
( ^∀^)こーんな絵文字使って返信してきて夕凪は機嫌良さそうだ。
教室の入り口に立つと、俺に気付いた夕凪がスカートをひらひらさせて駆け寄ってきた。
「高専来たよ、悟くん」
「よぉ」
俺の顔見てニコニコしてる。ショート丈にした制服がよく似合ってる。腰、こんな細かった? 胸の発育も良好じゃん。スカート少し短くね? 顔の次にそういうところを見てしまうのは、俺が健康極まりない男子って事だろう。
髪を下ろしてるからなのか去年の夏、会った時より随分と大人っぽくなっていて「髪少し切ったの」とか言って毛先、触ってる。
やべ、普通に可愛い……けど、実は俺は夕凪を見に来たわけじゃないんだよな。夕凪とはこれから毎日会えるわけだし慌てて何かする必要もないだろ。「おぉ」ってとりあえず夕凪に軽く挨拶する。
男2人が入学するってっから俺はそっちを見に来たんだ。俺みたいなグッドルッキングガイは早々いないのは知ってるけど、傑みたいな女ったらしが紛れ込んでないとも限らない。夕凪をそそのかしそうな奴はいないか新入生を眺めてみる。
「大した事ねーな」
男2人を見たけど来るほどの事でもなかった。いったい俺は何をやってるんだと自分の行動が可笑しくなる。
教室の去り際に夕凪と目があった。俺のこと睨んでる。なんなの? さっきまで機嫌よかったよな?
――まぁ、ニコニコしてて誰かに一目惚れでもされたら面倒だしそういう顔してろ。
「悟くんなんか嫌い」
「はぁ?」
俺なんかした? オマエが変な男に絡まれねーか見にきたのに嫌いはねーだろ。ちゃんと「よぉ」って返事したよな? なに? 初日からイチャつけってーの? それはオマエが嫌だろ、同級生のいる前でいいのー?
夕凪は嫌いって言い放つと俺に背を向けて新入生の奴らんとこにスタスタ歩いて行った。よくわからねぇやつ。