第5章 いざ高専へ
――夕凪入学前
ピコ
俺の携帯の液晶に赤く点滅したメールアイコンが表示された。携帯をカパッと開けてそれを開封する。
「五条の溺愛が入学してくるらしい!」
目に飛び込んできたこの文面を見たのはこれで二度目だ。誰が言い出したのか知らねぇけど、高専では情報が錯綜して、俺が夕凪を溺愛してる事になっているらしい。メーリングリストに俺のメアドも紛れ込んでたんだろう。ご丁寧なことに俺んとこにもメールが届いた。
「有名人は大変だな、悟」
傑の言う通りだ。五条家から俺と一緒にいた女がやって来るとなればそりゃ噂は広まるだろう。
今さら訂正したってどうせまともに伝わらねーし、犯人探しするのもだりー。最初は夕凪に悪りぃと思っていちいち修正入れてたけどもう放置してる。
溺愛ってのはどうかと思うけど、あながち間違いでもない。逆にこれで夕凪に手を出す奴はいなくなる。俺が目をかけてると知ってて、夕凪にちょっかい出すとか死にてぇのと同じだからな。