第5章 いざ高専へ
3月になると非術師たちの高校受験がある。あたしはお母様には呪術師になるとは宣言したものの一応、最後まで悩んで一般の高校も受験した。
お母様は本当はあたしが普通の高校に行くことを望んでいたと思うし、あたしもその道を残したかったからだ。
悟くんには内緒で受験したのに、どこからか受験したことがバレていて……後日、電話で詰められた。
でもお母様に高専を反対されたとかそんな話はしづらくて、勉強の成果を試したかったと適当に嘘をついてごまかした。
そして第一志望だった高校から合格の判定をいただく。どうしようかと、正直、最後まで悩んだ。お母様、お祖母様、お祖父様、そしてお父様の目隠しの写真。全てが脳裏に浮かんでくる。
初対面でカチコチだったあたしを孫だと言って夕凪と名を呼んで涙を流してたお母様の両親たち。お父様にそっくりだとこれまた目を潤ませてあたしを拝んでたお父様のお母様。あたしの血縁。五条家とはまた違うあたしの家族。
みんなはっきりと口には出さなかったけど、呪術師以外の道を、普通の女の子の道を歩んでくれたらと、そんな思いが話の端端はしばしから感じられた。
悩んだ……。
悩んだけど、でも、あたしはそれらを蹴って、悟くんの待つ、悟くんが腕を広げて待っててくれる高専へと出向いたんだ。
悟くん飛び込んでいいよね?
「待ってっから」ってそういう事だよね。
ふふ、このセリフ、いったい何回メールで届いただろ? 何回電話で聞いただろ?
悟くん、先輩の皆々様、先生、同期のみんな、どうぞよろしくお願いします。