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【鬼滅の刃】屋烏之愛

第5章 素直 中編【※錆兎】






「げ……、またアンタとなんて、最悪。」

錆兎に出会った第一声に、陽華はそう呟いた。





何処までも真っ青な空が続く秋の日。

本部からの通達で、任務地に赴いた錆兎は、そこで陽華に会った。

錆兎があの決意をしてから、初めての合同任務。今度こそは陽華と心から寄り添って…、と意気込んで挑んだものの第一声が、冒頭の言葉だった。

対して、呟かれた方の錆兎は、自分の顔が怒りで引きつっていくのを感じ、慌てて、心で念じた。

(怒らない…怒らない…。)

「……そうか?俺は嬉しいけどな。」

言った本人でも、怪しむくらいの棒読みで答えた錆兎を、陽華は疑わしい目で見た。

「……何、頭でもおかしくなったの?」


ピキッ!


頭の中で何かがキレる音がした。今度こそ、怒りで顔を引きつる。

言い返そうと口を開きかけた錆兎の横から、一人の男が、声を掛けづらそうに話しかけてきた。

「…あの、鬼刈り様。今回の依頼の件なんですが…、」

「あ、すいません。」

錆兎が我に返り謝ると、男は依頼について話し始めた。


今回のは任務は、目の前に広がる森に巣食う鬼の退治。

森を持ち主である、この男が今回の依頼人。

この男の話によると、この森に鬼が住むようになったのが数ヶ月前。森の管理を任せていた夫婦が消え、捜索に出た何人かも行方不明になった。

鬼の関与が囁かれ、鬼殺隊の出番となったのだが、何人かの隊員が森に調査に向い、その全員が消息を断っている。

十二鬼月の可能性がある為、柱の錆兎が呼び出された。



全ての説明を聞き終わると、錆兎は男に安心させるように微笑んだ。

「わかりました。私達はその鬼を探し出して、倒せばいいんですね?」

錆兎が丁寧に確認すると、男はコクリと頷いた。

「宜しくお願いします。それと…そこにある小屋は、鬼退治の間、自由に使ってくださって、構いません。食料やら、少しの備蓄など置いてありますから。」

そう言って、森の持ち主が目の前にある小屋を指さした。

錆兎たちが了解すると、男はこの場にいるのでさえも、怖かった様子で、そそくさとその場から、去って行った。



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