第3章 第二夜
『暑い•••••』
そう呟いた。
それは、 たいして暑さを和らげる役にも立たず、足元から這い上がる熱気は俺のHPをガンガンけずっていく。
ふと 気づくと、近くを歩いている リア充 カップルが 俺をジロジロと見ていた。
まあ、 当たり前か。
俺は 苦笑をもらすと 水面に映る自分の姿を見る。
灰色の生地に、黒い歯車と謎の白い模様がプリントされたパーカーを着ている俺が そこに映っていた。
この暑い日に、 こんな妙な模様の長袖パーカーと長いズボンをはいて 出歩いていれば、そりゃあ眺めたくもなるだろう。
俺は、少し口を歪めて笑うと、フードをかぶり直して また呟いた。
『暑い•••••』