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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第3章 星はひかれど燎火をもとめる原いん


そんなことを考えていると、まるで私の心を透かしたようにくすりと笑った。彼女の眉は少し下がっていて困っているような、切ない表情をしていた。

「恋人じゃないわ。…私の強情のせいで恋人になれなかったの。あなた、泣いていたでしょう?ここにくる恋人たちは私のことを嘲笑いに来たのかと思っていたのだけれど…あなたがあまりにも悲しそうな顔で俯いているからここまで連れてきてしまったわ。」

そして彼女はストールからこちらへ視線を移すとにこりと笑った。

「好きなんでしょう?あの人のこと。私みたいになったらダメよ。私が見守ってあげる。私の後悔を代わりにあなたが晴らして頂戴。」

「え?」

すると彼女はストールを私にかけて、吸い込まれるようにその中へと入っていった。

その瞬間、バンッと勢いよく扉を開ける音がした。

「針!!!…はぁ、やっと見つけた。さっきのやつは?全然見当たんないんだけど祓ったの?」

「あ、五条先生…いや、えっと。実は…、」

私は五条先生に起こったこと全てを話した。
私が先生のことが好きだという話以外は。

「それ、もしかしたら呪具かもね。帰ったらちょっと詳しく調べてみようか。呪いも無事いなくなったしさっさと帰ろう。」

先生は何事もなかったかのように淡々と話した。先程のことはもうなかったことになっているのだろうか、それとも気にしてない?やっぱり任務上の演技だったのだろうか。
こんなにドキドキしているのは私だけなの?

あんなことがあったのにも関わらず話題にもせず、普段通りの態度をする先生に胸がつっかえた。
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