第22章 烏は陽から兎は月から怱怱と逃げ出すほどの
「今の悟のパートナーは、君だろ。」
気がつけば私は目に涙をたっぷり浮かべていた。そんな私を諭すかのように夏油さんは少しだけ声を低めて、冷静に、強く静かに私を諌めた。
「悟の孤独を埋めているのは、もう私じゃない。君なんだ。」
「…っうぅ…………っ……。」
そして、私の涙は限界を迎えて零れ落ちる。…きっと、五条悟と夏油傑は誰にも理解できない何かで結ばれている。
そんな彼の言うことだから、私が割って入ることはできない。2人には2人にしかわからないことがあるだろうから。
でも、それでもこんなに距離が近いのに、会えるのに…。悔しくてたまらなくて、その晩、私はたくさん泣いた。
なんで悟と一緒に教師になってくれなかったの、なんで非呪術師を殺してしまったの、なんで呪詛師になってしまったの。
ずっと、なんでもないことだと思っていたのに。今になって私は、夏油傑という人間がこの世からいなくなる要因全てから胸を焦がされた。
______あなたが、悟と笑う未来が見たかった。