第17章 超短編集
『マッチ売りの少女』
ころん「マッチはいかがですか?」
ある冬の寒い夜、1人の少女がマッチを売っていました。朝から1本も売れず困っていました。
ころん「全然売れない。どうしよう…。」
すると1人の男の人がやってきて、少女の前で立ち止まりました。
信玄「マッチと一緒に君も貰っていいかな?」
ころん「…へ?」
そう言って男の人はマッチと一緒に少女も貰っていきましたとさ。
Fin.
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『家康とりす』(家康目線)
※()が心の声、「」が声出しのせりふです。
家康「…どっから来たの?」
家康は安土城から御殿に帰って来て驚いた。
自分の部屋に入ると文机の上にりすがちょこんと乗っていたから。
黒い大きなくりくりした瞳でこっちを見ている。
家康「ころんみたい。」
(…何考えてるの俺。)
頭を振ってころんのことを頭の隅に追いやる。
近づくとふわふわの尻尾を揺らしてじゃれついてきた。
(このりすどうしようかな。ころんに見せたら喜ぶかな。)
考えていると、ふと上から視線を感じた。りすとは違う視線を。
家康は視線の感じるほうへ目をやった。
「「あ。」」
いつの間にか天井の板が外れていて、その隙間から眼鏡の顔が見えた。
家康「…なんでいるの。」
佐助「お邪魔してます家康さん。そのりすは俺のです。」
(え?佐助のなの?)
家康「ふーん。じゃあはやく連れて帰って。」
佐助「ありがとうございます家康さん。ではまた来ます。」
家康「来なくていい…。」
佐助はりすと一緒に天井裏に戻って行った。
家康「はぁ…。」
(なんで佐助のりすが俺の部屋に…。あ、そういえばまだ読まないといけない書簡があったんだった。)
考えるのをやめ、家康は文机に戻り書簡に手を伸ばした。
Fin.