【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第44章 Back to December ☆
どんな顔をしていいか、わからなかった。
赤井さんは、時折、明美さんを懐かしむように話してた。
わたしは、まだ宮野明美さんに嫉妬してしまう。
だって、きっとすごく素敵な人だったでしょ?
赤井さんがこんな顔をして話すんだから、ものすごく魅力的な女性だったんだろうな…って。
前に、安室さんに言われたことがある。
生きてさえいれば、負けませんよ?って。
けれど、きっと、もし宮野明美さんが生きていたらわたしなんか到底敵わない。
明美って、呼んでたんだ。
そんな些細なことが、胸を刺して痛い。
「俺は、自分が思っていた以上に、明美の事が好きだったんだと思う。
…それから、俺の全ては、例の組織を潰す事。
それだけになった。」
わかっていたのに、直接、ちゃんと赤井さんの口から、明美の事が好きだったと言われると、正直キツイ。
過去形だなんて、気休めにもならないぐらい、胸が苦しい。
何て、答えればいい?
そうなんだ…って同意してあげればいい?
かわいそうって、同情すればいいの?
色々考えてるのに、わたしからぽろっと出た言葉は
「…ずるい」
ハッとして赤井さんを見ると、赤井さんは驚いたように目を見開いていた。
わたしから、言葉が勝手に出てくる。
「今も、赤井さんの心を掴んで離さない、きっと、綺麗で優しくて、素敵な人だったんだよね?
…ずるいよ…いなくなるなんて、ずるい」
勝てない。
ただ、そう思った。