第42章 Lemon

夢なら、良かったのに。

ニューヨーク　マンハッタン
パレスホテル


「サラ。あーお前、またベッドで酒飲んでる」

「タクミが教えてくれたんでしょ」

「そーだっけ？…お酒はハタチからだろー？
オマエ今いくつよ。」

「18だけど、アメリカでは21歳からだよ？」

「なおダメじゃねーか。悪い子だな。」


そう言ってタクミはわたしからお酒の入ったグラスを取り上げた。
後ろから、わたしの髪を分けて頸のあたりにキスをする。


「…ん…」

「サラ…お前は良い子だな」

「…矛盾してるよ」


わたしのどこが良い子なの？

きっとわたし、タクミの奥さんに見つかったら殺されるよ。
人様の永遠を誓った大切な夫と、こんなことしてるんだから。


「サラ…」


わたしの名前を呼びながら、タクミはわたしの唇を奪った。

タクミの長い髪がわたしの顔に降りかかる。
そしてタクミがわたしの中に入ってくる。
肌が触れると、嬉しくて満たされる。

この人は、この人だけはわたしのダメなところ全部知ってる。
弱い心も、感じる場所も、好きな言葉も全部。