第41章 Lover

赤井side


保安検査場の前で待ち始めて、もう随分経ったがセリーナの姿は見えない。


「来ないねぇ…」

「一本目で行ったのかもな…そもそも、羽田で合ってるのか？成田じゃないだろうな」

「えっ…そ、その可能性は考えてなかった」


あぁ。やっぱり。
俺がハァーっとため息をつくと、しょんぼりした顔をして俺の腕をキュッと掴んだ。


「あと10分待って来なかったら諦めます…」

「それがいいな」

「…お手洗い行ってきてもいいですか…」

「どうぞ」


落ち込みすぎて、つい敬語でそういうサラ。

4時間待ったんだ。
そりゃトイレにも行きたくもなる。


サラはずーんと下を向きながら、とぼとぼとトイレへ歩いて行った。

まったく。
まるで自分のことみたいに落ち込んで。
今日は帰りにどこか寄って、サラの好きなもの食べて帰るか…

そんなことを思っていた時


「シュウ…？」


聞きなれた声で名前を呼ばれ、ハッとそっちを見るとセリーナがボストンバッグを下げて立っていた。