【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第41章 Lover
梓さんの家はポアロからすぐのところ。
発車して5分で梓さんを下ろし、車内は2人きりになった。
「…なんか、車で2人になるの、久しぶりだね」
なんとなく沈黙が気まずくてわたしが口を開く。
「ですねぇ。」
安室さんは、変わらずわたしと友達の関係を続けてくれている。
どこまでも、優しい人。
わたしはそんな安室さんに甘えてばかりだ。
しばらく車を走らせていた時、ラジオから流れた曲を聴いた安室さんは、何も言わずに音量を少しだけ上げた。
「?どうしたの?」
「…いや。このアーティスト、最近好きで。」
流れてきたのは、綺麗で透き通った声質の女性ヴォーカル。
安室さんは、優しい目をしながらその歌を聴いてた。
確かに、綺麗な声…
あと、どこか儚げな歌い方で、心地いい。
そう思ってわたしも聴きながら窓の外を不意に見た。
その時、川の中にある人影を見て、わたしは思わず安室さんに声をかける。
「あ…安室さん…止めて…」
「え?」
「止めて!」
わたしが見たのは、セリーナさんが大雨の中、川に入って何かを必死に探していたところだった。
「何やってるんだろう…あんなところで」
じっとセリーナさんの方を見ながらポツリと呟くと、安室さんは呆れたように言う。
「放っておきな。関わるとまた泣かされるぞ」
「でも…雨降ってるし、びしょ濡れだし…ちょっと行ってくる!」
「あ!サラ!…まったく」
思わずRX-7を飛び出したわたしは、川の方へ向かった。