第40章 消毒　☆

赤井side


ピリリリリ


「あれ、赤井さん、スマホ鳴ってますよ」

「あぁ。サラからだな」


俺は、タブレットの資料に目を通すのをやめ、ポケットから赤井秀一用のスマホを取り出した。

思った通り、着信はサラからだ。


「サラ？あと5分ほどで本屋に着くが、どうした？」


電話に出て、そう話しかけるが返事がない。


「…サラ？」


もう一度、確かめるようにサラの名前を呼ぶが、返事はない。

嫌な予感がする。
以前、サラが誘拐された時の記憶が鮮明に蘇ってくる。


「秀？どうしたの？」


俺の様子がおかしいことに気づき、ジョディとキャメルは心配そうにこちらを見てくる。

俺は一度目を閉じて深呼吸をし、心を落ち着かせた。
前のようなヘマはもう2度としない。
冷静に、サラを助けることだけを考えるんだ。


「ジョディ。
俺のこのタブレットで、サラのスマホの現在位置をGPSで割り出してくれ」

「え？サラちゃんに何かあったの？」

「あ、赤井さん？」

「しっ…。静かに」


受話器越しから、かすかに声が聞こえる。
サラの声ではない。

どうやら、スマホはポケットにしまわれたまま発信されているようだ。
なんとか、そのかすかな声を聞こうと耳を澄ませた。