第36章 Stay Beautiful ☆

背筋、腹筋、太ももとお尻の筋肉、ベンチプレス

全部のメニューが終わると結構身体が熱くなっていた。


「よく頑張りましたね。
明日は今日使った筋肉とは別のところを鍛えましょう。
じゃあ、パーソナルはこれで終わりなんで、あとはあっちのランニングマシンで軽く走って帰ってください」

「はい！ありがとうございました！」


先生に言われた通り、わたしは他のお客さんもいるマシンスペースに移動し、ランニングマシンに立った。

さすがにこの場所でブラとレギンスだけになるのはTPO的に良くないよね…と思い、Tシャツを着るとマシンを起動して走った。


すると、隣で走っている若い男性が声をかけてくる。


「見ない顔ですね」

「あ、今日が初めてなんです」

「へぇ。あ、そのマシン、ここ押すと傾斜上がりますよ」

「あ！ほんとだー。ありがとうございます」


申し訳ないけど、さっきの筋トレで体力を奪われてるから、走りながら誰かと話してる余裕はない。

わたしはイヤホンをつけて30分間無心で走った。

そして30分後、汗を拭きながらランニングマシンを降りると、さっき声をかけてきた男性に腕を掴まれた。


「？なんですか？」

「今から暇？ご飯でも行かない？」


ジムに何しに来てるの？この人。
そう思いながらも、少なくとも来週までここに通うんだから、あまり派手な真似はできない。

わたしはにっこりと笑って断った。


「彼が、家で待ってるので」


そう言って有無を言わさず、わたしは足早に更衣室へ戻った。