【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第35章 ハルウタ ☆
「久しぶり」
「比護さん!」
「どう?サッカー楽しめた?」
わたしの頭をぽんぽんと撫でながらそう言う比護さん。
すっかり妹扱いだ。同い年なのに。
「あ、うん…っていうか、なんで言ってくれなかったの?サッカー選手って!」
「言うタイミング無くて。」
あははと笑って誤魔化す比護さんに、わたしもつられて笑ってしまう。
「いっぱいあったでしょ」
「まぁまぁ。それより、俺の今日のゴール、見てくれた?」
「…あ、うん見たよ?ハイライトで」
「えっ!?生で見てないの?」
ガクーッと肩を落とす比護さんに、わたしは慌ててフォローする。
「あ、でも、ハイライトでも十分かっこよかったよ?すごいね。あんなに走り回って、最後にゴール決めるのって」
「…今の、もう一回言って?」
比護さんが、顔を赤くしながらそう言った。
「?今の?…あんなに走り回って…」
「そうじゃなくて、その前」
「…十分、かっこよかった…よ?」
自分が、思わず大胆なことを言ってしまったことに気付いて、かああっと顔を赤くしていると、向こうから物凄い形相でこちらを見てくる視線を感じた。
ゾクッと背中に冷たいものが通る感覚がして後ろを振り返ると、沖矢さんと哀ちゃんがこっちにガン飛ばしている。
「あ、じゃあ比護さん!わたしちょっとお手洗いに…。今日はチケット本当にありがとうございました。」
これ以上哀ちゃんに嫌われたく無くて、わたしは半ば強引に頭を下げると、そそくさと逃げるように会場を出て行った。