【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第35章 ハルウタ ☆
「えー。なに?わたし何かした?」
隣にいた沖矢さんにそう言うと、沖矢さんもはぁーっとため息をつきながら言う。
「君が悪い。」
「なんで?!」
その理由を教えてくれず、納得のいかないままドリンクとフードを取ってきて席に座った。
実はサッカー観戦は初めてで、正直ルールもあまり知らないけどちょっと楽しみだったりする。
ビールを片手にスポーツ観戦するのはアメリカにいた頃、一度だけNBAの試合を見に行ったことがある。
確かあれは任務の一環で、一緒に見に行ったのが有名な実業家の息子で、その警護のためにわたしが恋人役として駆り出された。
だから、試合の内容なんてあまり覚えていない。
無意識に鼻歌を歌いながらビールを飲んでると、沖矢さんが、笑いながら言う。
「ご機嫌ですね」
「だってサッカー観戦初めてなんだもん」
「…まぁ、アメリカではMLBかNBAが主流ですしね」
「うん。沖矢さんはサッカー観戦初めてじゃないの?」
「あぁ。昔イギリスに住んでいたからね」
そう言いながら、沖矢さんはわたしの口元についたビールの泡をハンカチで殴ってくれる。
イギリスに住んでたんだ…
思えば、わたし赤井さんの過去についてほとんど知らない。
わたしの話は、もうほとんど赤井さんにしているけど、赤井さんがなぜFBIに入ったのかとか、どうして宮野明美さんと付き合うことになったのかとか、何も知らない。
いつか、話してくれるといいな…
そう思っていると、周りの観客がワーーーッと声を上げた。
どうやら、試合が始まったようだ。