第35章 ハルウタ　☆

今日は数ヶ月前に比護さんの撮影に付き合ったお礼に貰ったチケットで、サッカースタジアムに来ている。
初めて入るVIPゾーンに子供たちはご満悦だ。


「うわぁあ！すごい！VIP席だー！」

「選手がいつもの倍に見えますねぇ！」


貰ったチケットは、プレミアムシートで、椅子もちょっと高級感があり、フリードリンク、ビュッフェ付き。

試合後には選手と触れ合えるアフターパーティーがあるようだ。


「それにしても、こんな良い席プレゼントしてくれるって、比護さんって相当なお金持ちなのかな」


前に、わたしのお皿の弁償って言って、ポーンとお金くれたし。
そんな風に言うわたしを、そこにいた全員がギョッとして見てきた。


「あなた…まさかまだ知らないの？」


許せない…と言わんばかりに声を震わせて哀ちゃんが言う。


「？なにが？」

「あなたねぇ！」

「ま、まぁ灰原。どうせ試合が始まったらわかるんだし…」


コナンくんが間に入って哀ちゃんを宥めてくれ、哀ちゃんはプイッとそっぽを向いて歩美ちゃんの手を引いてドリンクカウンターへ向かった。