第32章 Soon You'll Get Better ☆

安室さんを見送った後、部屋に戻ると赤井さんはベッドでお粥を食べていた。

「美味しい？」

「……味覚がない」

そう言いながらも全部ちゃんと食べてくれる赤井さんの、額から流れる汗をタオルで拭った。
なんか、普段しっかりしてるし大人っぽいのに、風邪を引くと途端に可愛く思える。

大人しくお粥食べてる姿が、母性本能をくすぐる…

赤井さんが食べ終わったお椀を下げようとしたとき、赤井さんがわたしの腕を掴んだ。


「どうしたの…？」

「今日はもう…どこにも行かないか？」


わたしの目をじっと見ながらそういう赤井さんは、まるで小さな子供のようだ。

「ずっといるよ。
これキッチンに持っていったらまた戻ってくるから」

そう言うと、赤井さんは安心したようにわたしの手をゆっくり離した。