【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第32章 Soon You'll Get Better ☆
あの夜、別れてから初めて会う。
わたしは安室さんを傷つけたと言う罪悪感からまともに目が見れない。
「これ。」
安室さんからそう言って差し出されたのは紙袋だった。
とりあえず受け取って中身を確認すると、安室さんの家に置いてたわたしの私物が入ってた。
「多分、これで全部だと思うよ」
「…ありがとう」
取りに行こうと思っていたから、拍子抜けしてしまった。
でもよく考えたら、もう別れた2人が同じ部屋に一瞬でもいるのは良くないよね…。
「あの…わたし」
ポアロを辞めようと思ってる。そう言おうとした時、安室さんは笑って言う。
「辞めなくていいですよ。」
「え…」
どうして、わたしが言おうとしてることわかったんだろう。
安室さんは、そう言うところがある。
いつもわたしの気持ちを読んで、先回りして、そうやってわたしの手をずっと引いてくれてた。
「もういい大人なんだし、職場に元カノのひとりいたって、平気ですよ。僕は」
「まぁ、そうだけど…」
赤井さんにも悪いし…
そう思った時、安室さんがまだ笑って言う。
「赤井だって、FBIに元恋人いるだろ?」
…ほんとだ。
そしてまた心を読まれた…。
でも、確かに安室さんの言うとおりかもしれない。
たかが恋愛で仕事を辞めるなんて、社会人としてどうなの…
そう思い直していたとき、店長からわたしに話しかけてきた。
「サラちゃん。さっきの話ってなに?」
「あ…えーっと…じ、実は同居人が熱を出してしまって…
今日もし忙しくなければ早めに上がらせていただければ…と思いまして。」
「あぁ。そんなこと、いいよいいよ。
1時間早く上がって大丈夫」
「ほ、ほんとですか?
ありがとうございます!」
やっぱりこんないい職場、辞める方がどうかしてるんだ…
わたしはせめて働いている時ぐらいは集中して仕事しなきゃ!と、いつもより張り切ってコーヒーを作った。