【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第32章 Soon You'll Get Better ☆
俺を寝かせたあと、サラは氷枕を用意して俺の頭に敷いた。
「悪いな…」
「きっとこないだ海でわたしに上着一晩中貸しっぱなしだったから風邪ひいちゃったんだね…ごめんね」
そう言って泣きそうな顔で俺の額に掛かる前髪を寄せた。
1ミリもお前のせいじゃないのに。
きっと昨日、冷静になろうと何度も冷水を頭から被ったからだ。
そりゃ風邪ひくな…と自分がここまでバカだったとは思わなかった。
「バイトの帰りに薬とか買ってくるね。
…やば…もう準備していかなきゃ…」
サラは壁に掛けた時計を見ると、慌てて洗面所に向かい、身支度を整えた。
「じゃあ、行ってくるね」
そう言って出て行こうとするサラの手を、無意識にベッドから手を伸ばして掴んだ。
「?赤井さん…?」
「…いや…」
早く、帰ってきて欲しい。
そう言おうとしたが、何となく気恥ずかしくて言うのをやめた。
するとサラはそんな俺の髪を指で撫でて言った。
「走って帰ってくるね」
お見通しというわけか。本当に敵わないな。
俺はフ…と口角を上げると、ゆっくりサラの手を離した。
サラが出て行ったドアをじっと見つめて、俺はゆっくりと目を閉じた。