第31章 Together ☆

お湯に浸かると、京都で一緒にお風呂に入ったのを思い出した。
楽しかったな…旅行。
またあの日みたいに手を繋いでどこか行きたいな…


赤井さんに、触れたい…
触れて欲しい。
抱きしめて、キスして、触って欲しい。


ちゃぷ…と口元をお湯につけてぶくぶくと泡を立てながらそんなことを思った。

わたし、欲求不満なのかな。


身体を洗おうと、バスルームの鏡の前に座ると、自分の鎖骨の辺りに、零がつけた痕がまだ残ってる。

こんな、前の人の痕が消えないぐらい短いスパンで、赤井さんに触れて欲しいと思うなんて、よく考えたら傲慢なのかもしれない。


色々考えているとのぼせてきてわたしは身体をピカピカに磨いてフラフラとお風呂を出た。

髪を拭きながらオーバーサイズのTシャツ1枚着た状態で部屋に戻ると、赤井さんは相変わらずタブレットに目を通している。


「お風呂、あいたよ？」

「…ん？ああ。」


赤井さんはタブレットをソファーの上に置いて、わたしの方を見ないようにしてお風呂に向かった。


…そんなに仕事忙しいのかな…
赤井さんが置いてったタブレットの中を見たくてしょうがなくなる。

…ジョディさんと連絡取ってるのかな。
あの日、交差点でジョディさんにキスしたのは何だったんだろう。
わたしのこと、ずっと好きだったって言ってたのに、キスできるの？

嫌なことを思い出してしまって、わたしはまたブルブルと首を振った。