【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第30章 I belong with you ♪
なんか、たくさん話したいことはあるのに、何から話したらいいのかわからなくて、わたしは必死に言葉を探した。
「有希子さん、元気?」
考えて考えて、出てきたのがそれだ。
「あぁ。当の本人は、俺が元気がないとずっと騒いでいるがな」
「赤井さん、元気なかったの?」
「…まあ。」
「どうして?」
「どうしてって…」
赤井さんは、うーんと少し眉を顰めて口元を押さえながら言葉を探してるみたいだ。
「…お前が、隣にいなかったからな」
「…赤井さんから離れたくせに…」
そんなこと言いつつも、わたしは涙が出そうだった。
わたしと同じ気持ちだったんだ。
寂しくて、辛くて、苦しかったんだ。
涙を目に溜めたままふふっと笑うと、赤井さんはわたしの頭をぐしゃぐしゃっと撫でながら言う。
「笑うな」
「だって」
笑いながらぐすっと泣くわたしの涙を赤井さんが拭って、またわたしを抱きしめた。
「…久しぶりだな。お前の匂い…」
「…うん。赤井さんの匂いもひさしぶり」
「俺の匂い?どんな?」
赤井さんは自分の腕のあたりをふんふん嗅ぎながら聞いた。
「落ち着く、大人の匂い」
目を閉じて、赤井さんの匂いを嗅ぐと、愛しくて切なくて、また涙が出てくる。
「お前の匂いは、甘くて心地いい匂いだ」
そう言いながら、赤井さんの顔が近づいてきて、匂いを嗅がれる?と思っていたら、赤井さんの唇がわたしの唇に重なった。
ゆっくり唇を離すと、わたしの目をじっと見つめてくる。
「…どうしよう…ドキドキしすぎて死にそう」
「俺も」
赤井さんは、めずらしく眉を下げて笑った。
本当にたまに見せる可愛い笑顔にドキッと心臓が鳴って、その余韻を感じる暇もないまま、また赤井さんはわたしの唇を奪った。
ずっと、こうしたかった。
そしてずっと、こうしていたい。
唇をゆっくり離した赤井さんは、わたしの瞳の奥を覗き込みながら言った。
「好きだ。どうしようもなく」
真っ直ぐすぎる目に、ドキッと心臓が大きく鼓動して、わたしはまた赤井さんがくれるキスに身を捩った。