第29章 赤い糸　♪

今日は零とグランピングに来た。
梓さんに、グランピングの施設が新しくできたんですよー！と聞いて、気分転換にやってきたのだ。


「すごーい！ほんとにテントの中がホテルみたいになってる！」

「キャンプ場とも併設されているみたいですね。」


連れてきてくれたグランピング施設は、いわゆるインスタ映えのしそうな超絶おしゃれな空間で、わたしは思わず うわぁ〜と声を漏らした。

テラスにはBBQのセットが置いてあり、その隣には二人で寝転がって星が見れるようにリクライニングソファーが置いてある。

テラスに出ると、確かに隣はキャンプ場になっているようで、家族連れが何人かテントを張っている。
その風景を眺めていると、後ろから零がわたしを抱きしめた。


「気に入ってくれましたか？」

「うん！すごく。」

「良かった」


そう言って零はわたしを抱きしめたまま、わたしの頬に手を寄せた。
そして後ろを向かせるとわたしの唇を奪った。

ちゅ…

数秒重なった唇は、ゆっくりと離れ、目を見合わせるとわたしたちはふっと二人揃って笑った。


「なんか、くすぐったい」

「どうして？」


そう言いながら零はわたしの頬や耳にちゅ…ちゅ…とキスをしてくる。


「ふふっ…もう零………え！零！！ちょっと！」



零がくれる幸せのキスを受け入れながら、不意にテラスの下に視線を落とすと、見慣れた顔が5つ。

コナンくん、哀ちゃん、歩美ちゃん、光彦くん、元太くんが並んで、じとーっとこっちを見ていた。