【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第28章 最愛 ♪
あぁ。数分前の俺と全く同じことを思ってたんだな。
抱きしめたい。
サラの身体を抱きしめて、好きだ、愛してると言いたい。
今更遅いのに、湧き上がるサラへの想いを俺は必死に抑えた。
俺は諦めて胸ポケットからUSBを取り出した。
そしてサラの名前を呼び、それをサラに返した。
俺の負けだ。
だけどサラ。頼むから、危険なことだけはしないで欲しい。
そんな願いすら、今の俺には叶えることができないのか。
俺が立ち去ろうとした時、サラが呼び止めた。
少し、ほんの少しだけ期待をして、俺はサラの顔を見た。
そしてサラからは思いもよらぬ言葉が飛び出す。
「わたしは、宮野明美さんの代用品だった?」
代用品?
あるわけがない。
俺がどれだけお前に惚れているか。
自分の人生や幸せよりも、お前の幸せが大事だと思うほど。
俺はお前に出会って、また人を好きになることの温かさを思い出したのに。
色んな感情を必死に抑え、これだけサラに伝えた。
「お前を、あいつの代わりだと思ったことは一度もない。
ただの、一度も」
そんな風に否定しても、今更何も変わらないのにな。
俺はサラに背を向けてその場を立ち去った。