【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第27章 気付かれないように ☆ ♪
「きゃああぁああ!」
零に絆創膏を貼ってもらった後、手を引かれながらホテルを出ようとした時、パーティ会場から悲鳴が聞こえた。
「なに?今の悲鳴…」
わたしがそう言ってすぐ、零はわたしの手を離して悲鳴が聞こえた方へ走り出した。
「零!待って」
わたしも、足の痛みを堪えながら、零の後を必死に追った。
突然離された手が、わたしの心臓を震えさせた。
フラッシュバックする。
あの観覧車の出来事が。
必死に手を伸ばしても届かなかったあの日が。
しばらく走ると、零、コナンくん、沖矢さん、小五郎さん、蘭ちゃんがその場にいた。
どうやら悲鳴を上げたのは蘭ちゃんだったみたいだ。
みんなが立ち尽くす部屋の前から、わたしも中の様子を見てみると、そこには男性の変わり果てた姿があった。
ドクン…
わたしの心臓が大きく鼓動した。
今度は両親が死んだあの夜がフラッシュバックする。
パパもこんな風に苦しそうに目を見開いて、冷たくなってた…
血がまるで芸術みたいに床に広がっていて、わたしの心臓はだんだんと速くなる。
「は…ぁ…はぁ…ッ」
呼吸が乱れて、気管が狭くなる。
どうしよう…こんなところで過呼吸が起きるなんて…
わたし、思えば零にこの事話していない。
知っているのは赤井さんだけだ…
息が…出来ない。苦しい。
助けて…
「た…すけて…ッ」
わたしは朦朧とする意識の中、無意識に誰かの腕を掴んでそう言った。
誰の腕を掴んだのか、視界がぼやけて見えない。
息を吸おうとすればする程、ヒューヒューと狭い呼吸に苦しくて、胸を押さえて膝がガクッとよろけた時、誰かがわたしの身体を抱きしめた。
懐かしい、タバコの匂いがした。