【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第27章 気付かれないように ☆ ♪
赤井side
運命は時に残酷だ。
サラを、忘れられなくて苦しんでいる俺を、冷たく嘲笑うかのように。
サラは、俺に笑いかけた。
元気?と、あの頃の笑顔で。
心臓が潰れそうなほど痛んだ。
もう俺のものではないその笑顔を奪い返したくなる。
もう遅いのに、もうどうしようもないのに。
サラは安室くんの腕に手を回した。
それが、いつも俺にしていたときの仕草と全く同じで、変わらないな…と懐かしくも思えた。
2人が俺たちから立ち去った後、蘭さんが俺に心配そうな顔をして話しかけてくる。
「昴さん…あの、大丈夫ですか?」
「…何がです?」
「何がって…」
「…僕から彼女を振ったんですから」
「…好き合っているのに、一緒にいられないって…苦しいです…」
まるで前にボウヤに言われたことと同じことを言う。
自分に重ねているのだろうか。
たまにしか会えない工藤新一を待つ自分に。
サラと安室くんは先ほどから姿が見えない。
鈴木会長に挨拶に行くと言っていたが、鈴木会長は数分前からずっと我々の近くで園子さんと話をしている。
今頃、ふたりで何をしているのか。
想像せずとも何となくわかる。
俺が安室くんの立場なら同じことをしていただろう。
しばらくするとサラが安室くんと腕を組んで会場に戻ってきた。
ほらな。やっぱり。
サラの顔は少し紅潮していて、髪がさっきより少し乱れてる。
おまけに首筋に真新しい赤い痕。
自業自得だな。俺は。
神様がくれたしっぺ返しに、俺はサラから目を逸らして自嘲気味に笑った。