【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第25章 プロローグ ☆ ♪
ありふれた休日。
街でわたしは一瞬時間が止まった気がした。
街中でマスタングに乗っている赤井さんを見た。
どうしてか、あたりが全部白黒に見えて、赤井さんとわたしだけが色付いて見えた。
雑踏がスローモーションに流れ、目を丸くして赤井さんの方を見た。
赤井さんはわたしに気付いて赤信号を無視しそうになってた。
そして次の瞬間、助手席にいたジョディさんにキスをした。
何度も、わたしにしたみたいに。
あぁ。そんなことするんだ。
そう軽蔑できればいいのに。
わたしは久しぶりにみた彼の姿に胸が高鳴った。
忘れなきゃと思っているのに、たった一瞬目があっただけで引き戻される。
そして驚くほど残酷な光景を目の当たりにする。
バカだな…わたし。
何ちゃんと傷付いているの?
今更、戻れると思っていた?
数日経ったら、わたしのことを迎えに来てくれるなんて、おとぎ話みたいなこと考える歳じゃないでしょ?
そう思っていると、安室さんの手がわたしの目を覆い、後ろからわたしを抱きしめた。
「見なくていい」
「…っ…」
涙が溢れて流れた時、安室さんが視界を遮るみたいにわたしの前に来て、わたしを今度は前から抱きしめた。
わたしはゆっくり、安室さんの背中に手を回した。
安室さんの服をぎゅっと掴んで、まるで赤井さんに仕返しをするみたいに、安室さんの胸の中に顔を埋めた。
安室さんの腕の中は温かくて、赤井さんとは全然違う香りがする。
胸の厚さも、肩幅の大きさもぜんぜん違う。
赤井さんと比べるとほんの少し華奢で、それでもわたしの身体よりもずっと大きくて、わたしを全身で守ろうとしてくれている。
そうやって、わたしの中の想いを全部安室さんで上書いてほしい。
そう思った。