【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第25章 プロローグ ☆ ♪
赤井さんと別れてひと月が経った。
「え!これ美味しい!」
「だろ?僕のイチオシのお店」
わたしがフォークに刺したサーモンを口に運んで、感動して前を見ると安室さんの笑顔がある。
あれから、赤井さんには一度も会ってない。
近所だからそのうちバッタリ鉢合わせるかも?と思っていたけど、そんなドラマみたいなことは一切無かった。
前みたいに、赤井さんを思い出して泣くことは少なくなった。
赤井さんを思い出すのは、不意に彼の吸ってたタバコが雑踏の中で香った時。
それ以外は、だんだん安室さんの笑顔で上書きされてしまっている気がする。
これでいいんだ。
いつまでも、引きずってても仕方ない。
何度も何度もそう自分に言い聞かせて、最近ようやくちゃんと笑えるようになった。
「これからどうする?映画でも見る?」
「いいね。今何やってるの?」
そう言ってわたしは安室さんの出したスマホの画面を覗き込んだ。
「これからの時間だと、ちょうどアベンジャーズとか?」
「わたしアクション映画大好き!」
「じゃあ、決まりですね」
安室さんはそう言ってわたしの頭をポンポンと撫でると、その場で映画のチケットを買った。
「じゃあ、最後デザート食べて出ましょうか」
「うん!チーズケーキとティラミスどっちにしようかな…」
「どっちも頼めばいいのでは?」
「太るもん」
「ははは。仕方ないですね。
僕がティラミスを頼むので半分こしましょう。」
「いいの?」
ぱあっとわかりやすく顔を明るくしたわたしを見て、安室さんはまたクックックと笑った。
デザートを半分こなんて、赤井さんとは出来なかった。