【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第24章 思い出せなくなるその日まで ♪
どうしよう。
どんな顔をしていいか、わからない。
そんなわたしを見透かすみたいに、安室さんが笑う。
「…サラを襲ってしまわないうちに、帰るよ」
そう言ってわたしの髪をぽんぽんと撫で、安室さんが身体を離した。
そのとき、わたしは咄嗟に安室さんの服の袖を掴む。
「ま、待って…」
自分でもびっくりしてる。
自分のこの行動に。
「サラ?」
驚いて目を丸くする安室さんに、わたしは俯きながら言った。
「もう少し…いてほしい」
何となく、身体を離された時、寂しかった。
「…サラのこと、襲うよ?」
「それは…困るけど」
なんて、勝手なんだろうわたし。
やっぱり、いい。ごめん。
そう言おうとした時、安室さんがまたわたしの髪を撫でた。
「コーヒーでも、飲もうか」
「…うん」
優しい人。
もし、安室さんを好きになれたら、今度こそもう1人にならなくて済む…?
そんなずるい考えばかり浮かぶ。
部屋の中に入って、コーヒーを淹れるためにキッチンに立った。
「砂糖とミルク、どうする?」
「どっちもください」
わたしも、砂糖とミルクが要る。
赤井さんは、いつもブラックだった。
だめだな。
些細なことですぐ思い出してる。
安室さんに背を向けて、キッチンでコーヒーを淹れていると、安室さんが後ろからわたしの身体を抱きしめた。
「えっ…」
「サラ。好き」
耳元で、安室さんの声が響く。
マイルドで、深みのある声。
ドキッと心臓が鳴って、わたしはかろうじて息をしながら言う。
「耳元で、ダメ…」
「好きだよ…」
安室さんはもう一度、そう耳元で囁いた後、わたしを自分の方に向けた。
安室さんの視線とわたしの視線が重なる。
「好きだよ、サラ」
「…何回言うの…」
「100回でも、1000回でも言う」
そう言って、安室さんはまたわたしにキスをした。
コーヒーの匂いが鼻をくすぐる。
安室さんの唇が熱くて、骨まで溶かされそうになりながら、わたしはただひたすらに彼がくれる無償の愛を受け止めてた。
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