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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第1章 出逢ってしまったふたり




手筈はこうだ。

ウォッカが組織の重要な機密の入ったメモリーカード渡し、引き換えに何らかのデータが記録されたディスクを受け取る。
そこで取引成立なのだが、わたしが背後から相手を気絶させ、ウォッカが渡したメモリーカードを奪い、ウォッカに渡せば今回の任務は完了

しばらくすると取引相手が姿を現した。


「待ちくたびれたぜ」

「すまない。所用が押してしまってな。
メモリーカードは持ってきたか?」

「ああ。ここにあるぜ。
その、薬の研究用プログラムと交換と行こう」


そして、メモリーカードとディスクが、
それぞれ相手に手渡った。


「これで取引成立だな」

「いや。まだだよ。」


ウォッカのにやりと口角を上げて言ったセリフを皮切りに、わたしは取引相手に背後から掴みかかり、
首をガキっと捻ると、取引相手は泡を吹いて倒れた。


「ジェーン。流石だ。見事な手際だったぜ」


ジェーンとは、わたしのスパイ活動に使っているコードネームだ。

でもこの名を使うのも、呼ばれるのも今日で終わり。


「ほら、メモリーカードを渡しな」


そう言って手を差し出すウォッカに
にこっと微笑みながらわたしは言った。


「これは、わたしが頂いていくね。」


その瞬間、わたしは窓ガラスを突き破り、
外へと飛び出した。

ガシャーーーンとガラスが飛び散る音と
ウォッカの 待て!! と言う声が遠くの方で聞こえたけど
わたしはメモリーカードを握りしめたまま、一目散に走った。

このメモリーカードがあれば、
あの組織を壊滅させることも夢じゃない。
死んだふりをして、この情報を国の機関に売ればお金になるし、わたしは普通の幸せを掴むことができる。

ママ…
今までわたし、間違ってた。

こんなの、ママが喜ぶはずがないと少し考えればわかったことなのに。
あの頃のわたしは、ただ真実が知りたくて必死だった。
生きていく理由が必要だった。


だけど、今日で終わりだから。
もう二度と暗い世界には戻らない。

いつか天国でママに会えた日に、褒めてもらえるように生きていくから。



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