第21章 Do you think about me? ☆

ショッピングモールで新しい服を買った。
なんか、少しだけ気分が踊った。
けれど来る場所は失敗したなと思った。

ここは、沖矢さんと一緒に買い物したところだし。
気を紛らわせようと来たのに、逆に思い出ばかり振り返ってる。


「あれ？サラさん？」


雑貨屋さんで目覚まし時計を見ていると、後ろから誰かに話しかけられた。
振り返ると、学校帰りらしい蘭ちゃんと園子ちゃんがいた。


「買い物ですか？
たしか、引っ越したんですよね？」

「うん。気晴らしに買い物しようかなって」

「わたしたち、これから3階のカフェでお茶するんですけど、よかったら一緒にどうですか？」

「え？…じゃあ、ぜひ」


誰かと一緒にいたかったわたしは、蘭ちゃん達のお誘いに甘えて一緒にカフェに入った。


「…サラさん、元気ないですね」

「え？」


注文したものが届いて、口に運んでいると蘭ちゃんが心配そうにわたしを見て言った。

わたし、ちゃんと笑ってたと思ったのに。
蘭ちゃんに気付かれるぐらいだから、きっと下手くそな笑顔だったんだろう。

そして赤井さんもきっと気付いてた。


「…ふたりは、好きな人と喧嘩とかする？」


口元に運んでいたティーカップをかちゃ…とソーサーに置きながら、わたしは2人に聞いてみた。


「わたしはあんまりしないけどー。
蘭はしょっちゅうよね。痴話喧嘩」

「なによー！
園子だって、一方的に怒るときあるでしょー？」

「どうやって仲直りしてるの？」

「うーん。やっぱりどっちかが折れないと。
あと、素直に気持ちを伝えるかなあ。」

「サラさん…沖矢さんと何かあったんですか？」


蘭ちゃんに突然核心を突かれた。
そりゃそうか、こんな様子でそんなこと聞くんだもん。
何かあった？って思うよね…


「…わたしのせいで、怒らせちゃったかもしれなくて…」


かろうじてそれだけ言うと、勝手に涙が溢れてきた。