• テキストサイズ

【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第20章 No way to say ☆ ♪




「電話、かかってこなかったから、我慢できなくてかけちゃった」

「そうか…」


そうだよ…声が聞きたくて仕方なかったから。
なのに、赤井さんはあまり嬉しくなさそうだ。

もともと無口な人だけど、なんとなく空気感が怒っている気がした。
少しだけ沈黙が続いた後、赤井さんが口を開いた。


「今日、楽しかったか?」

「え?う、うん。」


そっか。梓さんと約束してるって言ったんだ。
途中で梓さんが急用だったとはいえ、何となく罪悪感を感じてしまう。


「どこに食べに行ったんだ」

「えっと、錦座の seven ってお店だよ」

「…偶然だな。俺も今日その店の前を通った」

「え…」


嫌な予感がした。
その予感が的中するのは3秒後だった。


「お前と、バーボンが仲良く食事をしているのを見た」

「あ…そ、それは…」

「どうして嘘をついたんだ」

「や、嘘じゃなくて…本当は梓さんも一緒だったんだけど、途中で急用できて帰っちゃって…」


最低だ。わたし。
そもそも梓さんと約束があるなんて嘘だったのに。

偶然、その後誘われて現実になっただけなのに、言い訳して自分を守るのに必死だ。


「じゃあどうして、朝、バーボンの名前は出さなかった?」

「そ…れは…」

「…どれが嘘で、どれが本当かわからない。」

「赤井さん…」

「悪いが、今日はもう寝るから。」


そう言って赤井さんは電話を切った。


「また明日。」も
「おやすみ。」も
「好きだよ」も無く、耳から聞こえるのは電話が終わった後の静寂。


どうして…こうなるの。
たった1日離れただけで、こんなに不安定になるの?わたしたちの関係は。


ポロポロと涙が溢れた。

嘘をついたのは、赤井さんへの依存を断つため。
我慢をするため。赤井さんの使命を邪魔しないため。

ちゃんと言えばよかったんだ。
今日は1人で頑張るって。だから、そんなに心配しないでって。

言えばよかったのに嘘なんかついて、救いようのない女だ。


涙が溢れて止まらない。
気持ちって通じ合ってないとこんなに苦しいんだね。

わたしは電話をかけて、弁解する勇気もなかった。

ただ、明日になったら全部元通りになりますように。なんて非現実的なことを祈りながら、枕を涙で濡らした。



__
next chapter...
/ 1733ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp