第19章 pure ☆

赤井side


あのキュラソーとのカーチェイスから数日後の夜、俺のメールアドレス宛にジェイムズから事件の概要と出動依頼が届いた。

それはちょうど、サラとあの日の夜のドライブの埋め合わせをしようと、車に乗り込んだ時だった。


「…サラ。
悪いがドライブはまた今度だ」

「…事件？」

「あぁ。これから東都水族館に向かう。
お前は降りて家で待ってろ。
出発前でよかった」


そう言ってサラを降ろそうとするが、サラは動こうとしない。


「いや！一緒に行く」

「駄目だ。危険だから家にいろ」


サラは滅多にワガママを言わないくせに、こういう危険なことには必ず首を突っ込もうとする。
少しキツく嗜めると、サラは拗ねたように下を向いた。


「…赤井さん、仕事と同じぐらいわたしのこと大事って言ったじゃない」

「サラ…」


仕事と同じぐらい大切だからこそ、連れて行けないんだよ。
それぐらい分かってくれ…
それでも、サラにそんな目をされると上手く断れない。


「…赤井さんが、わたしの目の届かないところで無茶するんじゃないかって…心配なの…」

「…わかったよ。
ただし、お前は車の中で待機だ。いいな？」

「うん。わかった」


仕方ない。キュラソーが居るのは観覧車。
少し遠目の駐車場に停めるか。
そう思いながら、俺はアクセルを全開に蒸し、車を発進させた。