第83章 最終話　You belong with me ☆

数日後

秀一の非番の日に一緒に病院を受診。
胎嚢が見え、妊娠2ヶ月だと診断された。

エコーの写真を見ながら徒歩で病院から帰る途中、秀一がわたしに尋ねた。


「男か女、どっちがいい？」

「んー。どっちでも嬉しいかな！
男の子なら秀一に似るかな？でも1人目の女の子はパパに似るって言うから女の子なら秀一似かな？」

「俺に似た女の子か…想像つかんな…」


うーんと考え込む秀一がなんだか愛しくてたまらない。

ふふと込み上げてくる笑みを抑えながら続けて尋ねた。


「秀一はどっちがいい？」

「どちらでも。100%可愛いからな」

「もう親バカ？！」

「当然だ。俺とお前の子なんだから」


そう言って威張る秀一がやっぱり愛しくて、わたしは歩きながら彼の腕に抱きついた。

出会ってから今まで、秀一はわたしにたくさんの贈り物をくれた。

遠い昔に無くした喜怒哀楽、そして普通の生活。
そのどちらも、秀一が思い出させてくれた。

両親と初恋の人を失い、自暴自棄になっていた過去も全部受け入れてくれた。

雷の夜、安心して眠れるようになったのも彼が何度も何度も抱きしめてくれたから。

朝起きて、隣に大好きな人がいることの幸せをくれた。
新しい仕事も、夢中になれることも見つけることができた。

愛してるという言葉を何度もくれた。
そしてひとりぼっちだったわたしと家族になってくれた。

そして今、新しい命がわたしの中に宿っている。

全部、秀一がいたから。
秀一といたから叶えられたわたしの夢だ。

明日はどんな夢を一緒に叶えていく？


「ねえ、秀一」

「ん？」


秀一がわたしの方を向いた時、イタズラするみたいに背伸びしてキスをした。
そして彼が生まれ育った言葉で愛を伝える。


「I fancy you (愛してるよ)」


優しく微笑む秀一に、ありったけの愛を。

これからもずっと、秀一の居場所はわたしの隣だよ？


You belong with me




Fin.