第83章 最終話　You belong with me ☆

ワシントンD.C.

ホワイトハウスのすぐ近くにある17thストリートに位置するカフェで、わたしはバリスタとして働いている。


「ハーイ、サラ。コーヒー頂戴」

「セリーナさん！」


FBI本部からも近いこのカフェには、ジョディさんやキャメルさんなどFBIの面々が時折コーヒーを飲みにくる。

もちろん、わたしの夫も。


彼と結婚して1年後、組織との闘いは決着が着いた。

秀一が日本に留まる理由も無くなり、すぐにアメリカへ帰国して2人でD.Cの中心部にあるアパートの一室で新婚生活を送っている。


「今日も忙しくしてるわよ？アナタの夫。
相変わらず仕事大好きよねぇ？」

「セリーナさんは暇なんですか？」

「バカね。暇じゃないの。
効率よく要領がいいって言ってくれる？」


フンッと悪態をつく彼女ともすっかり打ち解けたわたし。
今では休日にショッピングに行く仲だ。
考えられる？あの頃のわたしには想像もしていなかった。


「ってことは、今日も遅いのか。秀一は」

「まあ、仕事を抱えているけどこなすのも早いから、彼。
死に物狂いで終わらせて帰ってくるんじゃない？」

「だと良いんですけど」


そう言いながら、セリーナさんにコーヒーをテイクアウト用のカップに入れて渡した。


「ありがと。そう言えば、明日店何時まで？」

「明日はお昼でマスターと交代ですよ？」

「じゃあ、ショッピング行かない？
ボーナスが出たから散財したいの。付き合って？」

「しょうがないなー。じゃあ、先月できた人気店のハンバーガーセットで1日付き合ってあげますよ♪」

「あなた、安い女ねぇ。OK、わかったわ。
じゃあ明日、交代の頃ここに迎えに来るわねー。
コーヒー、いただくわ。バイー」


そう言いながらセリーナさんは店を後にした。

相変わらず、強引なひと。
だけど憎めないんだよね。