【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第78章 彼方まで光を ⭐︎
米花中央病院
心療内科 外来
「どうですか。退院後の生活は。
いつも通りの生活に戻れましたか?」
「はい。生活は問題ないです。
ただ…赤井さんのことはまだ思い出せなくて…あと、あの日自分に何があったのかも」
「そうですか。焦らず、いつも通りの生活をしましょう。
安定剤、追加でお出ししておきますね」
「ありがとうございます」
2週に一度の心療内科の主治医との診察ももう4回目。
記憶を無くしてから2ヶ月が過ぎた。
未だ、忘れていることは思い出せないままで、このカウンセリングとか、意味あるの?とすら思い始めている今日この頃。
診察と薬の必要性を疑問に思いながら精算カウンター前の待合スペースに戻ると、本を読みながら待っていた沖矢さんに駆け寄る。
「お待たせ!」
「あぁ。どうでしたか?診察は」
「うーん。可もなく不可もなく。ってかんじかな」
お手上げ状態だよ。と、困ったように笑ってみせると、沖矢さんはわたしの頭に手を乗せてポンポンと撫でた。
「焦らなくて良い。一緒にいれば、きっと思い出せるさ」
「ん…そうだよね?あー、なんかお腹すいたなー!」
「夕食の食材を買って帰ろう。何が食べたい?」
「沖矢さんの肉じゃががいいなあ」
「了解」
なんて、誤魔化して笑顔で返してみるものの本当はもう分かってる。
記憶を取り戻すためには、受け身じゃだめだ。
自分からなにか行動しないと。
きっと、記憶を無くした原因が何かあるはず。
それを突き止めないときっと前に進めない。
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