【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第77章 枯れない花 ☆
ああ…それはつまり、妬いているということか
事件の推理は冴え渡るくせに、こういうときの勘は酷く鈍い俺は、ようやくサラが何故怒っているか?を理解した。
理解したと同時に、無性にサラが愛しく思えて、髪を撫でていた手を頭に添え、そのまま自分の胸は引き寄せ抱きしめた。
「お前は特別だ」
偶然彼女リストの1番最後にいたから。
など、とんでもない。
俺がどんなにお前が好きか、記憶を無くしたお前に伝える術を誰か教えてくれ。
特別だと言われて抱きしめられたサラは、安心したように俺に身を預けた後、少し笑って言う。
「…言わせたみたいだね」
「本心以外の何者でもない」
そう返すと、サラの身体を少し離し、ゆっくりと唇を重ねた。
驚いて目を見開いていたサラ。
数秒キスをして離したあともまだ目を丸くしている。
「…嫌だったか…?」
俺にしては珍しく弱気に問いかけると、サラは俺の目をじっと見つめながら、泣きそうな声で言った。
「好き…」
まさか聞き間違いじゃないだろうな?
今確かに、サラが俺を見て好きだと言ってくれた…?
今度は俺が目を丸くする番だ。
驚きの表情で見つめていると、サラが続けて言ってくれた。
「思い出したわけじゃないの。ごめん…
赤井さんのこと、好きになったの」
これは、ある意味奇跡なのか?
記憶を無くしたサラは、俺のことを思い出せないままにも関わらず、俺を好きになってくれた。
その事実が嬉しくて、俺は夢中でサラを力一杯抱きしめた。
サラは俺の背中に腕を回しながら続けて言う。
「さっき言いかけたこと、言ってもいい?」
「ん?」
どうした?と聞いてやると、サラは身体を少し離して俺の目を上目遣いで見つめながら尋ねた。
「赤井さんとの思い出を全部忘れてるわたしでも、好きでいてくれる?」