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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第75章 オレンジ





あの雷の日から何日が経った。
あれから、毎日の日課のように寝る前にベッドで赤井さんとお酒を飲む。

毎日彼が手渡してくれるのはいつも同じお酒。


「これ、なんてウイスキー?
バーボンじゃないよね?」

「ライ。」

「このお酒、好きなの?」

「いや?どちらかと言うと、バーボンの方が好みだな」

「じゃあどうして毎日ライなの?」


その問いに、赤井さんは少しだけ目線を上に向けて考えた後、


「願掛けってところかな」


そう言ってわたしの髪を撫でた。
最初は、困る。と言っていたこの行為も、だんだん心地良く思えてきて、今ではおとなしく頭を撫でられてるわたし。

願掛けと言われたそのライというお酒を飲むと、簡単に酔っ払ってしまう。

熱った頬のままゴロンと寝転がるとふわふわ気持ち良くなって赤井さんを見上げた。


「ん?」


グラスに口をつけながら首を傾げてわたしを見る赤井さん。
いつもクールな彼のオフモードを見ていると、なんだか、芸能人のプライベートを覗き見してるみたいな、特別な気分になり、思わず笑みが溢れた。


「ふふ」

「何だ。どうした?」

「ううん?なんでもない」


よく考えてみれば、あの雷の日にわたしと赤井さんはキスをした。
人工呼吸と言う名前のキス。

赤井さんは全く意識してなさそうだけど、わたしにとっては赤井さんとする初めてのキスだった。

正確には初めてじゃないんだろうけど、覚えてないし…




そう思いながら唇に触れてみると、少しお酒の水滴が残っているのに気付いたわたし。
恥ずかしくなって慌てて拭うとそれに気付いた赤井さんがわたしへ手を伸ばす。


「まだついてる」


そう言って、口角に残っていたお酒を親指で拭った。

赤井さんに触れられると、まるで金縛りにあったみたいに動けなくなる。
心臓がぎゅーーっと締め付けられて、息がうまくできなくて、顔がどんどん熱くなる。

わたしがもし赤井さんのことをちゃんと覚えていたら、今頃わたしたちはどんなふうに過ごしていたんだろう。

ベッドで寝転がりながらお酒を飲む2人の間にある、この微妙な距離はゼロになって、くっついてじゃれ合いながら甘い時間を過ごしたりするんだろうか。

わたしと赤井さんはどんな恋人同士だったんだろう。
赤井さんは、わたしのどこを好きなんだろう。





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